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深夜26時というサイトの補足とかいいつつ、もっぱら戯れ言メイン。
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突発P4ネタ。

アニメ化に浮かれたものの、時期が…
何か無性に書きたくなって一気に仕上げてしまった。
アビスとかもやってみたいので数が増えたらHPの方へ移すかも。
一応ゲームやってない方の事を気をつけたつもりですが、
ネタバレやや含みますので注意(12月頃のお話)
アニメにあわせて主人公は鳴上悠にしてみました(まだ馴染まない…)
主人公と花村です。


                                         ↓
 


寂しい部屋だ。
夕暮れ、というより既に日が暮れて夜の帳が降りてくる。
誰もいない家。
居間のソファーに座る人は居ない。
テレビの側の座布団に座る人も居ない。
可愛らしい字で飾ってある絵。
あの笑顔を思い出す温かさが逆に淋しさを増す。
学校の行事案内のチラシ。
片付けられた台所。
静かな縁側。
どこもかしこも優しい思い出ばかりで辛い。
他人の自分でさえそう思うのに、一緒に暮した人間が
こんなところにひとり。

…取り残されている。

ぼんやり窓の外を眺めていると玄関から仮の主が現れた。
「…花村、何でいるんだ」
「よ、親友!」
気軽に手を上げた俺をやや怪訝そうに見る。
「今日夜バイト休みなんだ、夕飯一緒に食べようぜ!」
適当に買ってきた惣菜の袋をドンとテーブルにのせる。
「クマは?」
「働かざるもの喰うべからずですよ」
「明日ゴネても知らないぞ」
「んー、そん時はそん時。つかさ、お前こそ今日バイトあんの?」
「いや、今日はない」
「良かった~、肝心な事聞き忘れてたからさ。んじゃーとりあえず着替えてこいよ」
「それもそうだな」
相変わらず冷静にすました顔で鳴上は2階へ上がってゆく。
どこまでもいつもと変わらない。
思わず掌の合鍵を握り締めた。

「で、何でお前がここに居るんだ」
着替えてきた鳴上は冷静に俺に問う。
目の前に出されたマグカップにはインスタントコーヒー。
自分が持参した缶コーヒーは既に飲みきっている。
以前はドリップのコーヒーが多かったからこの辺りはダメージがきてる現れだろう。

「堂島さんが」
名前を出した瞬間、ほんの僅かに動揺が走ったけどとりあえず見ないフリをした。
「今日ちょっと病院寄ったんだよ、そしたら堂島さんがさ、お前が一人で悩んでる
んじゃないかって心配してて。合鍵預かったんだよ。たまに様子見てきてくれって」
鳴上の顔に痛ましそうな表情が浮かび、すぐに消える。
キレイに隠されたその顔をみつつ俺は答える。
「だけど、これは明日にでも返してくるよ」
「…何故」
「おまえんちなんてさ、勝手知ったるじゃね?最初はそう考えてあがらせてもらった
んだよ。なのにさ」
ぐるり、と部屋を見渡す。
「ここはお前達家族の家だ。俺が勝手に入り込んじゃダメだろ」
「……」
「それにさ、鍵なんてなくてもお前に入れてもらえばいいじゃん。だから鍵は返す」
「…陽介」
やや照れくさくてへへ、と笑う。
そしてもうふたつ。

「なあ、この家って寂しかったんだな」
「……」
「俺の勝手な想像かも知んないけどさ。俺もお前も、多分家で1人で居る事って
昔は普通だったんじゃね?なのにさ、こっちに来てみんなに会って、ここで騒いでさ。
ここはまるでみんなのホームだった。あそこに奈々子ちゃんが座って、笑ってた」
あの子の名前を出した瞬間、ビクリと空気が震えた。

「俺はさ、お前を待って一人でここにいる時寂しかったよ。辛かったよ。
親友だって言ってたのに俺はお前の気持ちなんざ全然わかっちゃいなかった。
あの時だって…」
「花村、もういい」
「花村って呼ぶな」
「……」
「なあ悠、お前はいっつもリーダーとして頼りになって皆を引っ張って導いて、
だけどお前は!
…お前はいつ休むんだよ。お前だって俺らと同じただの高校生じゃん。
頼むから、あんま無理すんな…」
「…花村のくせに生意気だな」
困ったような顔で苦く笑う特捜のリーダーの顔ではない悠。

「それにさ。強かったんだなって思った」
「ん?」
「あの子はさ、お前が来るまでいつもたった1人で堂島さんの帰りを待ってた。
この寂しさに耐えて、いつも笑ってた」
「…うん」
「エライよ」
「ああ、そうだな」
「奈々子ちゃんは絶対助かる。だから俺達は俺達に出来る限りの事をやろう!」
「…ああ本当に、花村のくせに生意気だ」
取り澄ました顔に思わず唸る。
「おーまーえーは~」
そのとき見たこの横顔を俺は忘れないと思った。
「ありがとう、陽介」
「おう、どういたしまして!」

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